大正8年創業。全ての製品を従業員が手作りしているホームシューズメーカー。
日本のスリッパ生産量の約4割を占めるスリッパの街、山形県河北町(かほくちょう)にある、大正8年創業の手作り高級スリッパメーカー「阿部産業」
100年以上続いている老舗中の老舗です。
ちなみにスリッパって日本が発祥って知っていましたか?
「開国」に伴い江戸時代末期~明治時代初期に西洋文化が日本に来ましたが、西洋人は室内で履物を脱ぐ習慣がないため、日本の宿泊施設各地でトラブルが続出。
そこで、横浜の外国人居留地(政府が外国人の居留および交易区域として定めた地域)の外国人が、仕立屋を営む徳野利三郎氏に依頼をしてつくったのが現在のスリッパの原型となる履き物でした。
誕生当初はスリッパは「靴の上から履くもの」で、屋内で素足にスリッパを履く文化と独特の形状は徐々に日本で生まれていったそう。1
スリッパという響きで日本発祥なのは驚きですよね。
阿部産業は草履の仲買いとしてスタートし、昭和40年代には生活様式の変化から室内履きの製造を始めました。
そして99年目となる2018年に「スリッパ」という言い回しを「ホームシューズ」と改め、「家庭での安心感や幸福感につながるように」という想いを込め、ファクトリーブランド”ABE HOME SHOES”をスタート。
今回ご紹介するのは老舗かつ高級ブランドそして手作りであるABE HOME SHOESに関してです。
製品のご紹介
ABE HOME SHOESには独創的かつ機能性にこだわったものが多くありますが、ここでは代表的な製品をご紹介。
・帆布バブーシュ
「ABE HOME SHOES 」の1作目として開発された代表作「帆布バブーシュ」。
モロッコ発祥のバブーシュ※1を、ABE HOME SHOES が現代生活に合わせたホームシューズとしてデザインした製品。
※1 バブーシュとは、もとはモロッコの民族衣装のひとつで、ペルシャ語の「脚をおおう(カバー)」という意味に相当します。スリッパと同じかたちの履物で室内はもちろん外履きにも使えます。伝統的なバブーシュは職人の手によって動物の革とファブリックを縫い合わせたもの。
綿100%の帆布生地を使い、中敷にクッション材を使用することで履き心地の良い仕上がりに。
ちなみに「帆布(はんぷ)」とは、「綿や麻で織られた平織りの厚手生地のこと」。キャンバス生地とかで呼ばれていたりしますね。
シーンに合わせて、かかとを倒してサッと履いたり、かかとを上げて靴のように履いて使用できるのも嬉しいポイント。
もちろん洗濯機で丸ごと洗えちゃう。
カラーサイズも豊富なのでぜひお好みのカラーを探してください。
・KINU HAKI
”「絹」を履く”という最上位の贅沢としてつくられた「KINU HAKI」。
ABE HOME SHOESと米沢織りの出会いから生まれた「KINU HAKI」。
袴地は独特の張りのある締まった絹織物で、米沢織り職人が最高の絹を用いて丹誠に織りあげている。
絹が採用されたスリッパはどこにもございません。
洗礼された美しく上品なホームシューズ。
思わずずっと眺めたくなるほど。
袴地のさらっとした素材感が素足でも気持ちがよく縞模様が美しく映えます。
カラーが豊富なのもうれしいですね。
別売りでケースも販売していますがそちらも美しいです。
ちなみにケースで税込み8800円します。(えっ、ケースで?)
ケースは受注生産で販売をしているのでお届けまでは約1ヶ月〜3ヶ月程の時間がかかるそう。欲しいタイミングが決まっている方はご購入の際にご注意。
まとめ
意外と知らないだけで日本発祥の物って結構あるんだなぁと改めて感動しちゃいました。
でも現在は国内販売の9割ほどが輸入されることとなり、これに押されて国内メーカーもピーク時の300社ほどから20社ほどに激減。
それでも何とか知恵を生かし何とか生き延びているのが現状です。
日本の生活様式が文化としてある限り必要とされる場面が必ず有る筈と期待しながら頑張るしかないようです。
この文化を大切に継承していく為にもまだまだスリッパメーカーは頑張らねばなりません。
ぜひ歴史ある履物を見守っていただければ幸いです。
- http://www.futabakogyo.com/rekisi.htm ↩︎